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ナノポーラス金属錯体とは?

テーマ1:ガス分子の効率的な捕捉と分離

常温、常圧で気体であるような分子は、分子間相互作用が小さく、また分子のサイズも似通っているため、複数の分子が混合してしまうと、これらを分離することは簡単ではありません。MOFのナノ空間は、そのサイズや構造、さらに表面の性質を様々に変えることができるため、特定の分子を認識して捕捉するように設計することが可能です。これまでに、アセチレン、一酸化炭素、酸素などの小分子を、他のナノ空間材料では不可能であるほど超高選択的に分離できるMOFの開発に成功しています。

テーマ2:ナノ空間を反応場とした特異な化学反応の実現

ナノ空間に捕捉された分子の配向や配列は非常に制限された状態となります。したがって、ナノ空間内での反応は、通常の液相や気相での反応とは異なったものになります。MOFのナノ空間内にとらえられた基質分子が特定の分子配向となるように、空間構造を設計し、常識では考えられない反応を実現しています。また、ラジカルなどの電子的な活性種は、MOFのナノ空間中に孤立させることで、通常より大幅に安定に存在させられるので、この性質を利用した新しい反応開拓も行っています。

テーマ3:分子に応答する多孔性電子材料の開発

π共役平面型分子が積層した分子性導体は、低次元電子系に由来する多様な電子状態を持っており、わずかな外部環境の変化で金属が絶縁体に転移するなど、面白い性質を示します。 私たちはMOF中に分子性導体部位を構築することで、「導電性π積層骨格」・「ナノ空間」・「金属イオン」の機能を併せ持つ新しい電気伝導性MOFを開発しました。これを用いた省電力センサーや電極触媒など、既存の材料を凌駕する機能を持った分子応答性電子材料の開発を目指して研究しています。

テーマ4:同時計測技術による機能発現過程の解明

ナノ空間の分子捕捉などの機能の原理やメカニズムの解明には、多角的な分析が必要です。私たちはX線回折測定や分光測定を吸着測定と同時に行うことができるシステムを独自開発し、世界でわたしたちしかできない測定技術を有しています。また、放射光施設を利用した先進的な測定も行っており、ナノ空間の機能や現象の本質的な理解を深める研究を行っています。

テーマ5:錯体の配列と集合化による新機能開拓

通常、MOFの機能は結晶構造と物性の相関に基づいて理解され、またMOFの開発も結晶構造に基づいて行います。しかし、MOFの結晶粒子は有限の大きさを持っており、その大きさや形状も物性に関連すると考えられるようになってきています。特に、MOFをデバイス化して応用利用する際には、MOF結晶粒子の粒子間の相互作用が重要になると予想されています。私たちは、MOF結晶粒子を様々に配列させる技術を開発するとともに、粒子配列と集合化に基づく新機能の開拓に取り組んでいます。

テーマ6:吸着熱とエネルギー変換機能開拓

MOFの中には、吸着に伴ってそのフレーム構造が柔軟に変化するものが知られています。フレーム構造が変化すると、その構造のエネルギーが変化します。したがって、観測されるエネルギー変化には、「分子吸着そのもののエネルギー」と、「フレーム構造の変化のエネルギー」の両方が含まれており、柔軟なMOFへの分子吸着はこの両者が相関する特殊な吸着といえます。私たちはこの特殊性に着目して、発熱が小さい柔軟なMOFの開発を目指した研究を行っています。また、吸着のエネルギーは熱エネルギーとして取り出すことが可能であるため、MOFを用いたエネルギー変換に関する研究も行っています。

 

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