Research忍久保研の研究


研究テーマ:有機合成で拓く新しい分子の世界

  • 新規有機π電子化合物の創成と物性・機能の探求
  • π共役有機分子の新奇現象の創出と解明
  • 電子材料や医療への応用を目指したπ電子化合物の構造制御と機能開拓
  • 生体機能を模倣した遷移金属錯体触媒の設計と小分子活性化反応の開発

どんなに優れた分子をデザインしても、合成できなければ絵に描いたもちです。忍久保研では、様々な反応を駆使し分子を実際に手にする有機合成を重視します。また、自らが合成した分子の構造を明らかにし、その物性や機能を開花させるための研究を行います。

研究内容

芳香族性ならびに反芳香族性の新たな地平の開拓



芳香族性ならびに反芳香族性は、π電子系化合物の電子的性質を理解する上で極めて重要な概念です。古典的なHückel則に従うと、環状共役系に4n+2個のπ電子を含む化合物は芳香族性を示します。代表的な例はベンゼンで、環状共役系に6個のπ電子を有します。芳香族化合物は材料・医薬・天然物を問わず身の回りにあふれています。そのため、芳香族化合物の性質解明は古くより重要な研究課題とされてきました。その結果現在では、芳香族化合物の性質については多くのことが明らかとなっています。

一方で、4n個のπ電子を有する環状π共役分子に現れる反芳香族性については、現在においてもなお未解明な点が多く残されています。反芳香族性は芳香族性の対となる性質で、基礎学術的にたいへん興味が持たれます。加えて、反芳香族分子は狭いHOMO-LUMOギャップを有するために分子電子材料をはじめとする種々の応用も期待されています。しかしながら反芳香族性分子は一般的に不安定であり、単離および合成が困難とされていました。

これに対し我々は、反芳香族性を示すと考えられていながらもこれまで合成が不可能とされてきたノルコロールの大量合成を達成しました。また、この化合物は明確な反芳香族性を示しながらも、空気中で安定に取り扱い可能であることを明らかとしました。このように安定にかつ大量に合成できる反芳香族化合物は世界初となります。これを皮切りに我々は、種々のノルコロール類縁体を合成し、反芳香族性の性質解明ならびに材料としての応用に取り組んできました。特に積層型ノルコロール二量体に関する研究では、「2つの反芳香族化合物が積層すると芳香族性を示す」という理論的仮説を初めて実験的に証明しました。今後も様々な新規π電子系化合物を創出することで、芳香族性ならびに反芳香族性の新たな地平を開拓していきたいと考えています。


ヘテロ原子の機能引き出す:芳香族性から伝導性・発光性へ

π共役系有機分子は多彩な光・電子的機能をもっており、次世代を担う新しい材料として期待されています。一般的にこれらの化合物の主骨格は炭素原子と水素原子がほとんどを占めています。これに対し我々は、構成要素である炭素の一部を窒素や硫黄を始めとするヘテロ原子へと換える取り組みを行ってきました。ヘテロ原子の組み込みが達成された化合物は、ポルフィリン・コロール・サーキュレン・ピレン・バッキーボウルなど多岐に渡っています。加えて、最近ではヘテロ元素の挿入というコンセプトを提案し、ペリレンビスイミドにヘテロ元素を挿入した化合物も創出しました。これらの化合物は導入したヘテロ原子に応じ、光吸収特性・伝導性・発光性・反応性などの点で従来の化合物とは異なる魅力的な特性を示します。今後もヘテロ原子の導入を通じて新規π電子系化合物を創出したいと考えています。


生体機能への挑戦

ポルフィリンはヘムやクロロフィルの基本骨格です。これら天然の色素は、生体内における代謝過程やエネルギー貯蔵において重要な役割を担っています。我々は独自に開発した分子変換手法により、従来の生体における機能を超えた新たな特性を有する分子を創出したいと考えています。

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