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当研究室は2002年7月にスタートした研究室である。テーマとしてソフトマテリアルの界面組織化と光の精密利用に向けて研究をおこなっている。有機分子や高分子物質の集合体(ソフトマテリアル)は、構成分子の配向変化、相分離、相変化、形態変化、さらには物質移動現象といったダイナミックな特性を有する。動的機能の創成はソフトマテリアルに強く求められる重要な切り口である。当研究室では、光を用いてそれらの状態制御と動きを実現する手法の探索と開発をおこなっている。光は、波長、強度、偏光、位相、入射方位などの多元情報を含むが、一般的には波長を強度のみを意識した利用がほとんどであり、他の多様なベクトル情報を効果的に受け取るシステムはまれである。組織化されたソフトマテリアルは高度な情報を受け取り、状態を多様に変換できる多くの可能性を秘めている。光の精密利用という言葉はこのような観点で用いている。材料の動的機能の究極的な姿は生物がおこなっているプロセスともいえよう。その人工的なアプローチには、種々な分子・高分子組織体の精密な組織化手法の開発、組織化状態のon-demand制御、界面での光応答分子設計と活用が重要な鍵を握る。


1. ブロックコポリマー薄膜におけるミクロ相分離構造の光配向制御

1) "Optical alignment and patterning of nanoscale microdomains in a block copolymer thin film", Advanced Materials, 18(7), 883-886 (2006).
2) "3D Photoalignment and Patterning of Microphase Separated Nanostructure in Polystyrene-Based Block Copolymer", Chemistry of Materials, 19(7), 1540-1542 (2007).
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2.構造色を示すソフトマテリアル

粒径の揃ったサブマイクロメーターの球状シリカ球から形成される最密充填型コロイド結晶(以下コロイド結晶とする)を鋳型に用いてゲルを調製し、その後、シリカ成分をエッチングすると、コロイド結晶の構造を象った周期的に繋がった細孔を有するゲルが得られる(図1)。そのゲルは、従来のゲルに比べて、膨潤収縮の体積変化速度が千倍以上速い高速応答を示す。また、屈折率が可視光のスケールで周期的に変化することから、特定の波長の可視光を反射するため、その構造に基づく発色(構造色)が観測されることを明らかにしてきた。
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3.高効率な光物質移動現象とその応用

アゾベンゼンを有する高分子の薄膜において、レーザ光の干渉露光により物質移動が誘起され、表面レリーフが形成される現象が1995年にカナダとアメリカのグループにより報告された。当研究室ではそれらより3桁ほど低いエネルギーの露光、たとえば水銀灯光源にて数秒の照射時間にて十分に移動を誘起できる世界最高感度の液晶材料膜系を開発した。超分子液晶への展開やその利用に向けた研究を進めている。




1) "Surface Relief Gratings in Host-guest Supramolecular Materials", Adv. Mater., 12, 1675-1678 (2000).
2) "Soft Crosslinkable Azo Polymer for Rapid Surface Relief Formation and Persistent Fixation", Advanced Materials, 1963-1967 (2001).
3) "Uncoventional Polarization Characterisitic of Rapid Photoinduced Material Motion in Liquid rystalline Azobenzene Polymer Films", Appl. Phys. Lett., 83, 4960-1678 (2002).
4) "Phototactic Transport Motions of Polymer Film for Micropatterning and Alignment of Functional Materials", Advanced Materials, 16 (3), 220-223 (2004).
5) "Photo-triggered Surface Relief Gratings in Supramolecular Liquid Crystalline Polymer System with Detachable Azobenzene unit", Adv. Mater., 20(3), 516-531 (2008).
6) "Highly Photosensitive Surface Relief Gratings Formation in a Liquid Crystalline Azobenzene Polymer: New Implications for the Migration Process, Macromolecules", 40(13), 4607-4613 (2007).

4.疎水性高分子の界面組織化と基板近傍のコンフォメーション

高分子物質は気相操作ができないため、精密なナノ薄膜作製には水面展開膜の転写累積に基づくLangmuir-Blodgett法の適用は重要である。液晶分子のダイナミックな水面展開力と利用して、完全に疎水的な高分子であっても理想的な単分子膜が形成できることを見出した。σ共役高分子であるポリシランおよびポリ(3-アルキルチオフェン)やポリ(ジオクチルフルオレン)などのπ共役高分子をlこの手法によりLangmuir-Blodgett集積し、基板界面近傍のコンフォメーション特性を詳細に評価している。膜厚十数nmの領域にある基板界面近傍では、多くの共役高分子のコンフォメーションがバルク膜とは全く異なっていることを明らかとし、電極やインスレータなどの固体表面上で超薄膜(膜厚数十nm)にて機能する共役系高分子デバイスの界面設計のモデル構築へ展開している。





1) "Ideal Spread Monolayers and Multilayers Formation of Fully Hydrophobic Polythiophenes via Liquid Crystal Hybridization on Water", Langmuir, 10498-10504 (2008).
2) "Ideal Spread Monolayer Formation and Surface Presure Induced Orientation in Poly(9,9’-di-n-octylfluorene-alt-benzothiadiazole) via Hybridization with Liquid Crystal Molecule on Water", Synthetic Metals, 159(9), 835-838 (2009).
3) "Abrupt Interfacial Transition of Hydrophobic Polysilanes as Probed via Liquid Crystal-Assisted 4) Stepwise Deposition", J. Am. Chem. Soc., 124, 2074-2075 (2002).
Monolayer Formation of Hydrophobic Polysilane on Water through Hybridization with Liquid Crystal Molecule, Langmuir, 17, 2199-2205 (2001).

5. ブロックコポリマー水面膜を利用した表面ナノパターン形成と応用

水面上にて形成されるブロックコポリマーの集合構造(サーフェスミセル、逆サーフェスミセル、広がった単分子膜)を制御する手法の開発や得られた膜を表面ナノパターンとして工学的に利用する試みを行っている。現在、この水面膜にて得られるナノパターンを金属ナノ粒子など他物質をパターン化するナノテンプレートや高分子材料表面をナノ加工するエッチングマスクなどへの展開を試みている。



"Formation of a Highly Ordered Dot Array of Surface Micelles of a Block Copolymer via Liquid Crystal-Hybridized Self-Assembly", Langmuir, 22(12), 5233-5236 (2006).

6.ナノ界面組織膜のフォトメカニカル効果の観測と利用

代表的なフォトクロミック分子であるアゾベンゼンを有する高分子の単分子膜において、光照射により世界最高レベルである3~4倍に及ぶ可逆的な面積変化を実現し、その機構解明と原子間力顕微鏡などを用いた可視化観測をおこなっている。最近は、二次元相分離状態が観測されるブロックコポリマー系への展開を図っている。



1) "Photocontrolled Microphase Separation of Block Copolymer in Two Dimensions", J. Am. Chem. Soc., 127(23), 8266-8267 (2005)
2) "2D Nano-phase Separation Structure of Triblock Copolymer Having Azobenzene Aoiety", Polymer Preprints, Japan, 53(2), 3451(2004).
3) "Characterization of Monolayer of Photofunctional Block Copolymer Containing Polysiloxane", Polymer Preprints, Japan, 53(2), 3109(2004)

7.コマンドサーフェス型物質配向制御

せっけんに代表されるリオトロピック液晶の組織構造を無機化合物で固定化することで、ナノ構造を簡便に調製できる。これまで、我々の研究グループでは、このナノ構造調製プロセスにコマンドサーフェス型の液晶配向技術を組み込むことで、チャネルの面内光配向を達成している。最近は、メソチャネルの表面誘起垂直配向プロセスの開発、およびリオトロピック液晶の相転移を利用した垂直配向制御に取り組んでいる。



1) "pi-pi Interaction-induced Vertical Alignment of Silica Mesochannels Templated by a Discotic Lyotropic Liquid Crystal", J. Am. Chem. Soc., 132(39), 13654-13656 (2010)
2) "Surface-mediated photoalignment of organic/inorganic nanohybrids", Journal of the Ceramic Society of Japna, 116(3), 361-368 (2008).
3) "Photo-Alignment Behavior of Mesoporous Silica Thin Films Synthesized on a Photo-Crosslinkable Polymer Film", Chem. Mater., 18(5), 1226-1234 (2006).
4) "Photo-orientation of mesoporous silica thin films on photocrosslinkable polymer films", Adv. Mater., 17(8), 1035-1039 (2005).


Department of Molecular &
Macromolecular Cheimstry
Graduate School of Engineering
Nagoya University