Porous Material Chemistry Laboratory (Nakanishi Lab.) | Nagoya University

研究内容

研究内容のご紹介

 分離・吸着・触媒・エネルギー分野に寄与する、多孔質セラミックス材料の作製・微細構造制御を中心に研究を進めています。

 一言に多孔質材料と言っても、細孔サイズ・細孔の形状・気孔率の異なる多種多様なセラミックス多孔体があります。 目的の応用分野に適した細孔特性を制御して作りこむことにより、優れた機能性を有する新規材料の開発に取り組んでいます。特に、異なる複数のサイズ(ナノメートル&マイクロメートルなど)領域で狭い細孔径分布を有する階層的多孔構造の構築技術の確立を目指しています。

 加えて、作製した材料の基礎的物性を評価し、応用研究へとつなげる取り組みも行っています。

・相分離を伴うゾル-ゲル法による多孔質モノリス材料の細孔構造制御

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 高分子の重合系に適当な添加物を加えることでスピノーダル分解を誘起し、ゾル-ゲル転移により、その過渡的構造をゲル中に固定化することで、多孔質モノリス材料を作製することができます。
有機ポリマー・シリカなどの無機物・有機-無機ハイブリッドなど、様々なゾル-ゲル反応にこの手法を適用することで、多種多様なモノリス多孔体を作製できます。

 また、界面活性剤の自己組織化を利用したミセル鋳型法など、他の多孔体作製手法と組み合わせることにより、複数のサイズ領域に揃った細孔を有する階層的多孔構造の構築が可能です。
このような階層的多孔構造を有する材料に関して、分離担体・吸着材・触媒・電極などへの応用を目指しています。

・高気孔率材料「エアロゲル」の断熱特性

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 エアロゲルは多孔質材料の中でも特に気孔率の高いもの(>90%)であり、一般的に低い熱伝導率を有しているため、断熱材としての応用が期待されています。 しかし、高い製造コストや低い機械的強度などの問題により、実用化には至っていません。

 当研究室では、世界で初めてのエアロゲルの実用化に向け、産学連携で上記の課題に取り組んでいます。

・固体電解質/電極界面のイオニクス

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 将来のスマート・グリッド社会に不可欠な高エネルギー密度の次世代型二次電池「全固体二次電池」の実現に寄与する、固体イオニクスに関する研究を行っています。

 現在使用されているリチウムイオン二次電池は、要素部材として電極(正極・負極)、セパレータ、有機電解液から構成されています。
その中で特に燃えやすい有機電解液を不燃性固体電解質に置き換えた全固体二次電池は、高い安全性を有する二次電池として期待されています。
しかし、固体電解質のイオン伝導性の向上や電解質/電極界面の抵抗軽減など、実用化に向けては課題が山積しています。

 当研究室では、固体電解質/電極界面における電荷移動反応に関する基礎的知見を得るべく、材料の丁寧な作りこみに根差した研究を進めています。