大井研究室 Research

有機イオン対の精密分子設計を武器に合成化学の夢・未来を描く

有機化学を特徴づける大きな魅力の一つは、新しい分子を創り出すことです。世の中に存在しない分子を自らのアイディアで設計し、それを実際に合成する。この本来的な思索と実験化学的作業の出発点は、分子の形・構造ですが、なぜその「構造」なのかは、一人の化学者の個性に直結していると同時に、生み出された分子がどのような働きをするのかという、隠された「機能」につながるものです。独自の分子に期待する「機能」や「構造」との関係は、研究分野によって多様だと思いますが、私たちの研究室では、有機イオン対である「オニウム塩」に着目し、その分子設計と精密な構造制御により、有機化学反応を司る触媒としての機能創出をターゲットに研究に取り組んでいます。この興味の背景には、オニウム塩が金属を持たない有機分子触媒として働くため、環境破壊・資源枯渇といった眼前の課題解決に貢献し得ること。またオニウム塩が、これまで特定の触媒作用・反応様式の枠組みの中でしか評価されてこなかったという事実があります。私たちは、分子構造と触媒機能の関係に対する正確な理解を深めることで、オニウム塩触媒作用の潜在的な可能性を引き出して行きたいと考えています。このアプローチを基盤として、合成化学的価値が高くしかも未来永続的利用に耐え得る分子変換法を開拓し、有機分子触媒化学の分野に新潮流を生み出すとともに、今世紀に求められる持続型社会の実現に寄与することを目指しています。

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